2017年2月23日木曜日

現代日本人文芸:二宮正治小説:二十歳陽子の愛と性:第25回

「Nさん、広島市安芸区矢野大井地区を何とかしてよ」
 明夫が涙声でこう言う。
「ああ分かっているよ。この広島市安芸区矢野大井地区を再生創生するには広島都構想か中国州を実現させて『陸の孤島』この状態を解消させるのだ。それでないと矢野大井地区の悲劇は未来永劫に続く」
 Nは明夫を見て言葉を返した。
「私たちは何をすればいいの」
 陽子が口を添える。
「他地区からこの場所に移ってきた人や仕事でこの地区を訪れた人に『気取るなこのボケ』こんな事は言わない事だ」
 このNの言葉に陽子は、
「昔は地元の小学生や中学生が平気でこんな事を言っていたもんねえ」
 他には、
「他地区の同和地区の人に『この大汚れ』こんなひどい事を言ってケンカを売らない事」
 陽子と明夫はこのNの言葉を聞いて、
「うわあ、そんな事を言うの」
 こう言って絶句した。
「それに・・・・・・・・」
「それになに」
「広島市安芸区矢野大井地区の良識ある人々が『私たちはエセ同和とは関係ありません』この態度を見せているのが分かるか」
 陽子と明夫は言葉が出ない。

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