陽子は中学校の時から成績はトップクラスだった。学校推薦で広島でも名門の大学へと進学した
のだ。
「私に無いのは恋人だけだ」
こう思うと虚しかった。
広島では女子大生はみんなカープ女子をやっていて、気のあった仲間たちとマツダスタジアムに出
かけてカープを応援している。球場で男性と仲良くなり恋仲になった女の子はなぜか幸せそうであ
る。
「私の前に素晴らしい恋人は現れないのかな。恋人が欲しい」
陽子は毎日のようにこう思うようになっていた。
一月の冬の寒い夜陽子はあてもなくうら寂しい夜道を歩くのだった。
「誰か声をかけてくれるかも」
この思惑があったのだ。
だが、冬の寒い夜に歩いている男性など皆無である。
「だれか来い」
陽子は二時間待った。
遠くからほろ酔い加減の男性がやっている。
「ものにしよう」
陽子はこぶしを握りしめた。
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