陽子は誘われるままに中年男性とホテルに入った。
「なるようになれ」
こう思ったのだ。
この中年男性は四十歳の割にはいい体格をしていた。
この中年男性は全身全霊で陽子の体を愛撫してくれた。
陽子も必死で感じたふりをした。
「気持ちいい」
「うん、とっても」
男性はひどく嬉しそうだった。
陽子の醒めている心を知る由もない。
陽子は必死で感じたふりをした。
男性は必死で陽子を愛してくれた。だが、陽子に感動はなかった。
あるのは虚しさだけである。
「女の子はみんなこんな思いをするんだろうか。むなしい」
陽子はネット検索で女の子の初体験を調べた。
「初体験は素晴らしかった。感動の涙が出た」
この文章が目に止まった。
「うらやましい、よし、初体験をやりなおそう」
陽子は初体験をやり直す決意をしたのである。
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