2016年5月31日火曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息:P11

 野党四党は、

「内閣不信任案」

 これを出してきて、国会で、

「アベノミクスの失敗」

 声高にこう叫んだ。

安倍晋三は、

「私が直に『なぜ消費増税を延期したか』これを説明しよう」
 
 この考えを固めていいると、

不信任案は与党の反対多数で否決された。

「それにしても難しい舵取りを迫られる」

 安倍晋三は心の底でこう呟いてため息をついた。

「負けないぞ、私の手で新しい日本、新しい時代をつくるんだ」

 心でこう誓うのだった。

2016年5月30日月曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息:P10

 今政府内及び自民党内の不協和音が大々的に伝えられている。

いつもながらマスコミは安倍総理には手厳しい。

野党はこぞって、

「アベノミクスが失敗したから消費増税ができないのだ」

 こうまくし立てている。

「誰がやってもこうなるんだ。野党の連中が政権を動かしていたら日本経済は無残に失速していたろう」

 安倍晋三は心の底でこう呟いた。

政府の主だった人達に安倍晋三は、

「なぜ消費増税を延期するか」

 これを熱心に説いた。

そして、

「衆院解散はやりたくない」

 心の底でこう叫ぶのだった。

「国民よ、私の心を分かってくれ」

 安倍晋三はこう呟いて大きくため息をつくのだった。

2016年5月29日日曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息:P9

安倍晋三は自分の心を整理していた。

「私は自分でもびっくりするほど男の勘が働く。この勘のおかげで長年代議士をやってこれた。今

回消費増税を予定通り実施したら、日本は泥沼にハマる」

 晋三は大きくため息をついた。

妻の昭恵が紅茶とケーキを持ってきて、

「リラックス、リラックス」

 と声をかけてくれるのだった。

「いつも済まないねえ」

 晋三が昭恵にこう声をかけると、

「体には気をつけてね」

 この優しい言葉が返って来た。

晋三は盟友の麻生副総理に消費増税延期を打ち明けると晋三の予想以上の激しい反発をして、

「それだったら衆議院を解散すべきだろう」

 こう言葉を返した。

「何としてでもこの局面を乗り切らないと」

 安倍晋三はまた大きくため息をついたのだった。