2016年3月30日水曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息:第7回

「ぼくが総理の間にアジアが火を吹かなければいいが」

 日本国総理安倍晋三は近未来のアジアを予測していた。

「ロシア、中国、南北朝鮮、いつ内乱が起きるかわからない。正規軍でない軍隊が日本を攻めてくる可能性が十分にある。憲法を改正してきっちり日本を守る体制を作っておかないと日本は火の海になる」

 安倍晋三はまたフーっとため息をついた。

「中国に内乱が起きて日本に大勢の難民が押し寄せると収集がつかなくなる」

 焼酎の湯割りの飲んで、最悪の事態を頭の中でシュミレーションをした。

「想像を絶するような事態が発生する。すべての日本人が想像できないような事態が」

 安倍晋三はまた湯割りを口にした。

そんな夫を見て妻の昭恵が、

「あなた選挙区で選挙を手伝ってくれている忠雄くんが結婚をするそうよ」

 こう言った。

「え、忠雄くんは二十歳じゃなかたっけ」

「何言ってんの、もう三十歳よ」

 安倍晋三は、は、は、は、っと照れ笑いをした。

   

2016年3月28日月曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息:第6回

 安倍晋三はトランプ氏が、

「日本の負担増なければ在日米軍撤退」

 こう発言した事について対策を考えていた。

「誰が次の大統領になっても同じような事を日本に言ってくるだろう。対策を考えないと」

 いつものようにフーっとため息をついた。

「国内に目を向ければ、民進党は反安倍一辺倒だ」

 安倍晋三は苦笑する。

「これしか言う事がないのか。これでは国民の支持は得られない」

 今後の事をあれこれ考えていると、妻の昭恵がお茶を持ってきてくれた。

「いつもありがとう」

 安倍晋三はお礼を言って一気にお茶を飲み干す。

「それにしても難しい舵取りを迫られる」

 安倍晋三はまたフーっとため息をついた。

2016年3月26日土曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息:第5回

「日本の若い世代は自分の夢を語る時は生き生きとしているが、人の意を汲んで動くのが苦手だ」

 日本国総理の安倍晋三は心の底でこう呟くとため息をついた。

「政党というのは有象無象の集団であってはならない」

 こうも。

「日本はどんな国になるのだろう。なんとしても美しい国、未来に向かって光り輝く国でなけれないけない」

 晋三は拳をにぎりしめた。

「それにしても、国会ではもっともらしい事を言うが、実際には自分たちの利益しか考えていない議員が多すぎる」

 またフーとため息をつくと、妻の昭恵が、

「ケーキとお茶を持ってきたわよ」

 こう言ってお茶とケーキを持ってきてくれた。

「ありがとう」

 安倍晋三は一日の仕事の緊張がとけて、笑顔がこぼれた。

2016年3月24日木曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息:第4回

 安倍晋三は遅い夕食を取りながら、今後の事を考えている。

「思えは体調不良で政権を投げ出した後のぼくの見方は麻生先生しかいなかった。麻生先生は失意のぼくをずっと励まし続けてくれた。本当に恩人だ。だが消費税の事ではかなりつらい思いをさせてしまった。今度再延期となると、また麻生先生につらい思いをさせる。だが、日本の将来を考えると麻生先生の顔色ばかり伺ってもいられない」

 晋三はフーとため息をついた。

「消費税をあげるべきか、延期スべきがそれが問題だ」

 晋三は心の底でこう呟いた。

「あなた、リラックス、リラックス」

 妻の昭恵が晋三にこう言う。

「総理大臣って孤独だよ」

 晋三のこの言葉に妻の昭恵は、

「負けないで」

 こう励ますのだった。

晋三は、

「分かっている」

 昭恵の目を見て微笑んだ。

2016年3月22日火曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息第3回

 安倍晋三は日曜の夜妻の昭恵が入れてくれるお茶を飲みながら夫婦で雑談をしていた。

「北朝鮮がまたやったね」

「ああ、困ったもんだ」

「目的は・・・・・・」

「日本と韓国の政権を崩して、国内世論を分断して、戦わずして利益を得るつもりだろう」

「そんなにうまくいくかなあ」

「あの国の上層部の考える事は恐ろしい」

「あなた負けないでね」

「分かっている」

 安倍晋三の顔に笑顔が戻った。

「体にだけは気をつけて」

「うん、日本の為にがんばらないと」

 安倍晋三と妻の昭恵はお互いの顔を見つめるのだった。

2016年3月19日土曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息:第2回:新連載

18日夜安倍晋三は北朝鮮がミサイルを発射した事に際し、

「一刻も早く防衛システムを確立しておかないと取り返しのつかない事になる」

 心の底でこう思った。

日本の米軍基地が攻撃される可能性が十分にあるからである。

そうなったら政権は崩壊する。

「あってはならない事だ」

 安倍晋三はフーとため息をついて自分に言い聞かすように、

「必ず日本の将来のためにやり遂げる」

 こう誓った。

「アジア各国の内乱にも備えないと」

 こう呟くと、いつの間にか妻の昭恵がそばに来ていて、

「リラックス、リラックス」

 こう言って優しく安倍晋三の肩を叩いた。

「ありがとう」

 安倍晋三はこの日初めて普通の男の顔になった。

2016年3月18日金曜日

二宮正治小説:安倍総理のため息:第一回:新連載

「四面楚歌、この状況は今のオレだ」
 
 日本国の総理大臣安倍晋三はフーとため息をついた。

「あまり無理をしないで、体に悪い」
 
 妻の昭恵が夫にこう言うと、

「分かっている、今度ダウンしたら政治生命を断たれる」

 安倍晋三は必死である。

第一次安倍内閣で政権を投げ出したような事は二度としたくないからだ。

「オレは誰にも負けない。今ここでオレが負けてしまったら日本は乱れてどうにもならなくなる」

 安倍晋三は、

「この難しい状況になる日本を救えるのは自分しかいない」

 この自負心を持っていた。

「それにしても敵が多い。雨あられと安倍降ろしが降り注いでくる」

 そんな夫の気持ちを察して妻の昭恵は、

「がんばってね」
 
 こう声をかけた。

「ありがとう」

 安倍晋三は優しい顔で妻にこう声を返すのだった。