2017年2月15日水曜日

現代日本人文芸:二宮正治小説:二十歳の女性の愛と性:陽子の場合:第18回:この物語はフィクションです。

 陽子は広島市安芸区矢野の大井地区という場所に住んでいるが、
小学校、中学校、高校とかわいがってくれた女性の先輩が自ら命を断った。
「結婚を破談にされた」
 これが大きな理由だ。
「今広島市安芸区矢野大井地区は広島市民の無言のボイコットに遭っているもんなあ。しょうがいないよなあ。怒らすような事ばかりするんだもんなあ」
 陽子はため息を付いた。
陽子が自分の父より信頼しているNによると、
「去年だけで近所の神社で自殺しかかっている若い女性を五人以上助けた」
 こう言うのだ。
「広島市民はこの地区に対して憎悪の念を抱いている。ハンパじゃない」
 Nはため息をつく。
「何でこんなになるの」
「ここが飛び地だからだ」
「今この地区の人達の支援を受けている市会議員が政務調査費(現政務活動費)の問題で広島県警から任意で事情を受けているよね」
「ああ、だから余計に苛立っているんだろう」
「私達未来永劫に広島市民に嫌われるの」
「今のままならなあ」
「どうすればいいの」
「中国州をつくって広島市と広島県の境を無くすことだ」
「Nさん実現させて」
「今動いているよ」
 陽子は優しかった女性の先輩が自殺したショックで心が動揺している。

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