2017年2月3日金曜日

現代日本人文芸:二宮正治小説:二十歳の女性の愛と性:第13回:陽子の場合

「もう健と会うのはやめよう」

 陽子はこう心に誓った。

「健は真理と恵と関係を持ってた。そして私とも。という事はまだ他の女の子に手をつけている可能性がある。危ない」

 陽子は高校生の頃情報屋と呼ばれていた女の子Aに会い健の事を探った。

「健がもてていたのは分かってたけど、相当の数の女の子と関係を持っていたのね」

 Aは何も答えない。

「教えてAさん」

 この陽子の問いかけにAは黙って両手をひろげた。

「それどういう意味。十人って事」

「それ以上」

 陽子の問いかけにAがポツリと答えた。

「うわあ・・・・・・」

 しばらく二人は無言だった。

「名前教えて」

「それは出来ない」

 陽子は心の底でとんでもない事をしてしまったと後悔するのだった。

ファミレスでため息ばかりついているとメールが入ってきた。

健からである。

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