2017年2月5日日曜日

現代日本人文芸:二宮正治小説:二十歳の女性の愛と性:陽子の場合:第14回

 陽子は各方面から情報を集め健が何人の女性に手を付けたか調べた。

軽く100人は越えている。

「なんて男だ。もう二度と会いたくない」

 陽子は健に愛想を尽かしていた。

だが健は陽子にのぼせまくってる。

「ぼくが愛しているのは君だけだ」

「そんな話は信じられない」

 毎日押し問答が続く。

今や健はストーカーと化していた。

朝な夕なに陽子のアパートを訪ねてくる。

近所の人も心配して、

「警察に相談したほうがいいんじゃないの」

 こう言う。

意を決して陽子は、

「もうあなたを愛するつもりはありません」

 ズバリこう言うと、

「冷たい事を言うな」

 こう言って泣くのだった。

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