2017年2月9日木曜日

現代日本人文芸:二宮正治小説:二十歳の女性の愛と性:陽子の場合:第16回

「二度とこの場所に帰ってくるな」
 
 仲の良かった友達が陽子に罵声を浴びせた。

それも一人二人ではない。

みんな陽子が女性を口説きまくって陽子にストーカー行為を働いた健を警察に突き出した

事を恨んでいるのだ。

「私の身にもなってみてよ。朝な夕なに付きまとわれたら生きた心地がしないよ」

 陽子は心のなかでこう叫んでいた。

「だが誰一人陽子の味方をしてくれる女性はいない。それどころか陽子を見るとみんな罵

声を浴びせるの。女性って怖い」

 陽子は女性の怖さを思い知らされた。

「それにしても、短期間に百人以上の女をくどく男がこの世に存在するんだな」

 陽子は誰にも挨拶をせず新しい住居へと引っ越して行った。

0 件のコメント:

コメントを投稿