2017年2月8日水曜日

現代日本人文芸:二宮正治小説:二十歳の女性の愛と性:陽子の場合:第15回

 健の陽子に対するストーカー行為は収まらなかった。

警察から何度も警告してもらっても健のつきまといは続く。

ある日、警察はとうとう健を逮捕して書類送検をした。

「ああこれでいやな思いをしなくて済む」

 陽子はため息をついた。

だが、この健のストーカー行為に対しての陽子の代償は計り知れないものがあった。

「周りの女性達が陽子に口を聞かなくなったのだ」

 なにしろ健は陽子の周りの女性を100人以上ものにしているのだ。

健と深い仲になった女性の中には本気で健を愛している女の子も多い。

こんな女の子は陽子を見たら親の仇を見るように睨むのだ。

「引っ越しをしよう。ここにいたらロクな事にならない」

 陽子はこう呟いて大きくためいきをついた。

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